このシャインマスカット、一つ500グラムが2つで11ドル(1,100円)。
シャインマスカットって、確か日本では一房何千円もするものだったよね?
びっくりしてしまい、思わず買ってしまった。

ただし、、、よく見てみれば、made in China。
シャインマスカットは、日本のものではなかったのか?まさか、正規のルートで入手されていない種苗からできたものを買ってしまったのだろうか。
不安になり、ネットで調べてみた。
結論は、違法でもなんでもなく、ちゃんとした「シャインマスカット」だということ。
なんなら、当時の日本の対応がお粗末だった(無知だった?)ということのようだ。
おいおい、頼むよ日本。とほほ。
ところで、そもそも「シャインマスカット」とはどんなブドウなのか?
シャインマスカットは、「安芸津(あきつ)21号」と「白南(はくなん)」をかけ合わせて育成された、黄緑色の大粒ブドウ品種(広島生まれじゃけぇ)。
広島にある、独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構果樹研究所が開発し、2006年に品種登録された。
病気に強く育てやすいアメリカブドウ(でも、嚙み切りにくく、香りが微妙)と、大粒で品質は良いが病気に弱く栽培が難しいヨーロッパブドウを掛け合わせることで、お互いの長所を生かした「作りやすさ」と「おいしさ」を兼ね備えたブドウ品種。らしい。
日本の品種の交配でできたブドウなのであれば、シャインマスカットは日本のものじゃないか!
ところが、、、
シャインマスカットの品種登録は、2006年に日本において実施した。だけれども、輸出を想定していなかったため、日本国外での品種登録を行わなかった。
当時品種登録を行わなかったのであれば、今からでも品種登録を行えばよいのではないか、と思うかもしれない。
だけれども、国際条約で「国外における果物の品種登録は自国内での登録から一定期間(ブドウは6年)以内に行うこと」と決められている。
シャインマスカットは、というと、2012年にその申請期限が来てしまっている。
だから、日本国外での栽培は特段日本の許可を必要とせず合法に栽培できる。ということ。
そして現在は、私が購入した中国産のほか韓国産のものもあり、香港・タイ・マレーシア・ベトナム、もちろんシンガポールでも販売されている。
その価格は、日本の3分の1ほどの値段で輸出されているとのこと。
あぁ、シャインマスカットは日本のものではないのね。
何をやっているのよ、ニッポン~!!

中国産のシャインマスカットでさえこんなに美味しいのだから、インバウンドでこの味を知った人たちが自国に持ち帰らないわけがないではないか。
許されるならば早く日本に帰りたいと思っている身としては、こういう脇の甘い日本が本当に「脳みそお花畑」かと思ってしまう。
それでも、思わず買ってしまった私も同罪か。
シンガポールにいると、日本の食のすばらしさを日々実感する。
スーパーで売っている調理用(加熱用)の魚一つとっても、買った瞬間から食べたくなくなるような臭いを発しているものもある。
葉物野菜はしなびていた状態で売っていたり、場合によっては袋の中でドロドロに腐っている状態のものでも平気で店頭に並んでいる。
こういったローカルの生鮮食品の横に、日本産の輸入食材コーナーがあるのだけれど、それはそれはおいしそうに見える。
ただし、手のひらサイズのカボチャが一つ15ドル(1,500円)、キュウリ3本12ドル(1,200円)と、全くかわいくない値段。
日本人の私でさえ購入をあきらめてしまうような値段設定なのだけれど、お金持ちのシンガポール人たちは躊躇なく買い物かご一杯に買っていく。
そういう人たちもいるのです。
おいしいものに出会ったら、自分たちの国に持ち帰りたいと思う人がいることは、ごくごく自然。
同じ美味しさでより安価に提供できるのであれば、一般庶民も買おうと思うし、そこで莫大な需要が生まれる。
” Japan as No.1 quality”と思っている外国人は、こだわって日本産を選ぶだろう。
だけれども、多くの人たちは「その他一般庶民」のカテゴリ。
なんとなく、日本発祥だということはわかっていたも、おいしさが同じであれば産地なんてどうだっていいと思う人が多いだろう。
でも、本当に日本産しか味わえない状況にあるのであれば、それでも食べたいと思う人はたくさんいることも確か。
ブランディングって、なんて大切なのだろう。
島国ニッポンよ。海に囲まれているからと言って敵がゆっくりやってくるわけではないのだ。
私は日本が大好きなので、もしFIREできたらこういった日本の良さを守る活動をするのもいいかもしれない。
シャインマスカットから派生して、FIRE後の人生についても思いをはせた出来事だった。
ちなみに白状してしまうと、私は日本のシャインマスカットを食べたことがない涙
End.